大商ニュース連載企画「CHANGE FASHION」大阪・関西万博を機に、共創しながら繊維・ファッション産業の未来に向けて挑戦する出展企業17社を紹介します。
第13回目は株式会社京都紋付さん!インタビューに対応いただいたのは、取締役の荒川優真さんです!
「世界一の『黒』を求めていきたい」そう語るのは京都紋付(京都府)の荒川優真取締役。
同社は、最も格式高い第一礼装の「黒紋付」の「黒」のみを100年以上染め続けてきた企業。しかし、黒紋付市場は最盛期から150分の1に縮小、業界組合が解散するほどの存続危機に追い込まれている。そんな中、同社は表面のコーティング加工で光の反射を減らしてより黒く見せる「深黒(しんくろ)加工」や、環境にやさしい染料を開発。「核となる技術を守り、進化させて『黒を極める』ことで差別化した」荒川氏は語る。
最近では洋服の黒染めサービス「K」を開始。これは環境配慮に取り組みたいアパレル企業と連携し、消費者が着られなくなった衣料の黒染めを提案するもの。消費者にとってはお気に入りの服に新たな命が吹き込まれ、長く着続けられるメリットがある。さらには予め、一定期間使用後に黒染めすることを想定した洋服も企画。「二度楽しむ服」として洋服の新たな価値を提案している。このような洋服への展開は同社の主力事業となり、売り上げは毎年50%以上伸びている。
今回の大阪・関西万博では、大阪の中小企業と共創、黒と白の対照的な世界感を展示し、黒染めの技術を発信する。
荒川氏は「日本では昔から黒紋付のように1つの衣類を長く着る習慣がある。着続けることにメリットを感じ、サステナブルを身近に感じる機会になれば」と期待を寄せる。
